日本健康教育学会誌
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実践報告
スポーツ活動を行う小学生に対する身体を動かすゲームを取り入れた栄養教育の効果
坂手 誠治柳沢 香絵上條 悠
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2017 年 25 巻 2 号 p. 93-103

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抄録

目的:学校での体育授業以外にスポーツ活動を行う4年生以上の小学生を対象に実施した,身体を動かすゲームを取り入れたスポーツ栄養講座に関する効果を評価した.
事業/活動内容:講座は,小学生スポーツ選手にとって重要と考えられる栄養に関する3つのテーマ(アスリートの基本の食事,水分補給,間食・補食)を,それぞれ講義と身体を動かすゲームを通じて理解を深めていく形で構成した.
事業/活動評価:参加者は,4年生から6年生までの男子10名,女子13名の計23名であった.自記式の質問紙で評価した食知識について,食知識全体では,講座前後で正答率の平均(標準偏差)が22.5(13.8)%から47.7 (11.9)% (p<0.001)へと有意に向上していた.しかし,質問項目別にみると,栄養素や副菜,また補食の役割等に関する質問では,変化が認められなかった.栄養素に関しては,学年や参加動機,将来目指すレベル別のいずれの区別においても有意な向上は認められなかった.間食・補食に関する正答率は,6年生では4.4 (8.8)%から28.9 (20.3)% (p=0.016)へ,積極的な参加動機の者では11.1(17.1)%から32.2(18.3)%(p=0.002)へとそれぞれ有意に向上した.
今後の課題:小学生スポーツ選手にとって重要と考えられる食知識に関しては,全般的には向上していた.しかし,学習内容によっては,理解度にばらつきがみられ,特に栄養素や間食・補食に関する内容については,講義や実技内容の検討が必要であることが示された.

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