日本健康教育学会誌
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短報
パーソナリティ・プロトタイプに基づいた大学生の類型化と精神的健康の関連
嘉瀬 貴祥上野 雄己大石 和男
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2017 年 25 巻 3 号 p. 195-203

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抄録

目的:心身の健康と関連するパーソナリティの類型について,質問紙で測定されたBig Fiveの得点を用いたクラスタ分析により,パーソナリティ・プロトタイプと呼ばれる3つの類型(レジリエント型,統制過剰型,統制不全型)が国外の研究で抽出されている.本研究では,大学生(大学,専門学校,短期大学,大学院に在籍する学生)を対象とした調査のデータにおいても,パーソナリティ・プロトタイプが認められるか否か検討することを目的とした.加えて,それぞれの類型に該当する者の精神的健康の状態が,先行研究の報告を支持するか否か確認した.

方法:株式会社クロス・マーケティングの調査モニターである大学生の400名を対象として,2016年5月に横断的なweb調査を実施した.調査内容はBig Fiveに基づくパーソナリティと精神的健康についてであった.この調査より得られたデータを,Ward法による階層的クラスタ分析,標準得点の算出,一要因分散分析を用いて分析した.次に,算出された標準得点を先行研究の結果と比較した.

結果:階層的クラスタ分析の結果,レジリエント型,統制過剰型,統制不全型,識別不能型という4つのクラスタが得られた.さらに一要因分散分析の結果,レジリエント型と識別不能型は統制過剰型より精神的健康が高いという傾向が認められた.

結論:本研究の結果から,諸外国の先行研究で見出されていたパーソナリティ・プロトタイプに相当するクラスタが,大学生においても存在することが示唆された.また,それぞれの類型に該当する者の精神的健康の状態は,先行研究の報告を支持するものであった.

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