日本健康教育学会誌
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特別報告
ヘルスコミュニケーション古今東西:日本での発展の方向性の提案
河村 洋子
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2018 年 26 巻 1 号 p. 76-85

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抄録

目的:本稿では,本年度の学術大会シンポジウムIIIで担当したヘルスコミュニケーションの世界的な動向を紹介する内容を,読者にとってヘルスコミュニケーションについて知るための資料になるように再度整理した.さらに,その内容を考察しこれからの日本におけるヘルスコミュニケーションの発展の方向性について提案を試みた.

内容:最初に,「ヘルスコミュニケーション」について初めて耳にされる読者に対して,触れておくべき内容を概論的にまとめた.次に,主に米国とインド及びアフリカ諸国のヘルスコミュニケーション分野の発展の歴史と現在の動向を示した上で,ヘルスコミュニケーションの分野としての特徴やあるべきかたちを考察した.最後に,日本の社会的枠組みに適したヘルスコミュニケーションのこれからを考える上で重要であると思われるポイントを提案した.

結論:日本には諸外国にはない,保健医療福祉分野の盤石な社会的インフラがある.しかし,急速なスピードで変容し続ける社会とその要請に応えていくために,ヘルスコミュニケーションが備える実践性と学際性の高さは極めて有用である.その実践をかたちにしていくことは多分野の協働関係の構築を促進し,社会の対応力を高める.ヘルスコミュニケーションを実践できる人材育成についても議論を始めることも,分野そのもの発展に有用であると思われる.そしてこれらの実践,研究,教育に関する議論において,多様な分野の貢献,視点が必須である.

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