日本健康教育学会誌
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Print ISSN : 1340-2560
特別報告
教員の働き方改革と健康
鈴木 雅子
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2018 年 26 巻 3 号 p. 298-304

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抄録

目的:本稿は,文部科学省が提言した「学校における働き方改革に関する緊急対策」について,その基となった教員の長時間勤務の現状を報告した.長時間勤務の現状にある教員の健康については,地方公務員災害補償基金の統計を用いて公務災害の結果から検討した.

内容:教員の勤務状況は平成28年度「教員勤務実態調査」において教員の1週間当たりの学内勤務時間は小学校教員で平均57時間25分,中学校教員は平均63時間18分といずれも前回(平成18年度)調査時より増加していた.また,小学校教員の33.5%,中学校教員の57.6%が週60時間以上の勤務をしており,月の残業時間が80時間以上とされる「過労死ライン」を超えていた.教職員の公務災害は全公務災害認定件数の約30%を占めていた.平成28年度の教職員の過労死等認定件数は脳・心臓疾患によるものが7件,精神疾患等によるものが14件と精神疾患等による過労死事案が多かった.教員の働き方改革では「タイムカードによる勤務時間管理」,「部活動時間の制限」等が提案されている.今後は長時間勤務の解消や労働環境を改善する方向に動くであろう.

結論:教員の長時間勤務はマスメディアにも取り上げられ社会にも浸透してきた.教員の勤務問題を学校関係者以外と共有したという点において支援する環境は形成されつつある.今後は支援する環境を活かし,教員自ら健康的な働き方を提言していくことが必要である.

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