日本健康教育学会誌
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総説
健康教育・ヘルスプロモーション領域における健康行動理論・モデルの系統と変遷
戸ヶ里 泰典福田 吉治助友 裕子神馬 征峰
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2018 年 26 巻 4 号 p. 329-341

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抄録

目的:健康教育学・ヘルスプロモーション領域において,介入プログラムを開発するうえで健康行動理論・モデルに基づくことが重要とされている.しかし数ある理論・モデルについて意図的にその整理を試みた報告は十分にない.そこで当該領域における理論・モデルを系統的,歴史的に整理することを本報告の目的とした.

方法:健康教育・ヘルスプロモーション領域において,国内外6つの健康行動理論・モデルを扱っている定評のある文献を参考に,著者間での議論を通じて理論・モデルを抽出した.これらは,Glanzらの整理に沿って,個人,個人間,集団・マルチレベルの3つの枠組みで分類し,歴史的な変遷を図示化した.

結果:個人の理論・モデルは期待価値理論を基礎とした連続性モデルと時間軸を含み行動へのプロセスをモデル化したステージモデルとに区分して分類した.個人間レベルの理論・モデルについては,社会的認知理論,ストレスと健康生成論,社会関係,健康・医療とコミュニケーションの4つの系譜に分けて整理を行った.集団・マルチレベルの理論についてはコミュニティエンゲージメント,問題解決型アプローチ,戦略立案型アプローチの3つの系譜に分けて整理した.

結論:個人,個人間,集団・マルチレベルの3つの枠組みで主要行動理論・モデルについて整理し下位水準の分類まで明らかにした.また理論の系統的発展を体系的に記述することができた.本研究を通じて理論・モデル各々の特徴の理解をより深めることが可能となった.

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© 2018 日本健康教育学会
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