日本健康教育学会誌
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特別報告
自治体におけるたばこ対策の評価とその活用
―PAIREM(改変型RE-AIMモデル)の枠組みを用いた先進事例の分析―
道林 千賀子
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2019 年 27 巻 1 号 p. 82-90

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抄録

目的:本稿では,シンポジウムIで報告した自治体のたばこ対策の評価に焦点をあて,PAIREM(ペアレム)の枠組みを活用した先進事例の分析の実際を紹介し,地域レベルのたばこ対策の評価のあり方とその活用について検討した.

内容:自治体のたばこ対策においては,保健師が主要な役割を担っている.しかし,その対策は不十分であり,数値目標を設定しつつ,客観的評価手法を改善していく必要がある.米国CDCの包括的なたばこ対策のためのプログラム評価に関するガイドラインには,「良い」評価として4つの基準(有益性,実現可能性,適切性,正確性)が示されている.これを満たす評価モデルPAIREMを用いて,自治体のたばこ対策の良好事例について6つの観点(計画,採用,実施,到達,結果,継続)から量的・質的評価を試みた.その結果,プロセスも含めて多面的に評価でき,成功要因と今後の課題を特定できた.根拠に基づいた保健医療(Evidence- Based Healthcare)を実現するには,客観的・科学的評価を対策の促進に有効活用する必要がある.

結論:PAIREMの体系的枠組みを用いて,定量的・定性的データを収集し,分析することで,幅の広いヘルスプロモーション活動を包括的に評価でき,見える化することもできる.評価結果を地域住民や組織内外の関係者に分かりやすく示すことによって,関係者の認識を変えるアドボカシーの実践に役立てられる.加えて,根拠に基づく保健政策の意思決定と地域レベルのたばこ対策成果の導出にも貢献しうる.

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© 2019 日本健康教育学会
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