日本健康教育学会誌
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原著
幼児の睡眠習慣に影響する母親の養育行動および関連要因
甲斐村 美智子 福本 久美子
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2021 年 29 巻 3 号 p. 278-289

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抄録

目的:幼児の睡眠習慣に影響する母親の養育行動,および養育行動に関連する要因について明らかにする.

方法:質的帰納的デザインを採用した.2020年1~3月,A県内の3地域で幼児養育中の母親16名を対象に半構造化面接を行った.主なインタビュー内容は,幼児の睡眠に対する配慮や認識等,睡眠に影響すると考えるもの等であった.PRECEDE-PROCEEDモデルを使用し逐語録の内容分析を行い,類似した内容でまとめカテゴリーを作成した.

結果:母親が行っている睡眠養育行動は,【入眠儀式】【生活リズムへの配慮】【寝室環境の工夫】であった.睡眠養育行動に影響する要因は,前提要因である知識として【日中の刺激】【寝室環境】【午睡や起床時刻】【父親の帰宅時刻】,価値観として【発達・認知機能・精神面へ影響】【1日の原動力】【心身の成長】【生活習慣の基礎】,態度として【指導的な養育態度】【許容的な養育態度】,強化要因として【身近な人からの支持】【情報探索】【体験的理解】,実現要因として【子育て支援事業】【保健師などの専門職】【保育施設】であった.このうち,【許容的な養育態度】は幼児の早寝を阻害する要因であった.

結論:幼児の健康的な睡眠習慣に関する知識や価値観,資源の提供に加え,母親が指導的な養育態度を獲得できるようなアプローチにより,幼児の早寝が促進され健康的な睡眠習慣を確立することが示唆された.

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© 2021 一般社団法人日本健康教育学会
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