日本健康教育学会誌
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特集:行動変容を促す健康教育・ヘルスプロモーションのアプローチ―COVID-19 をめぐる反省と課題から―
健康の社会的決定要因としてのヘルスリテラシー
中山 和弘
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2022 年 30 巻 2 号 p. 172-180

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抄録

COVID-19パンデミックは,虚偽や誤解を招くような情報を含めた情報が氾濫するインフォデミックを引き起こし,健康情報を入手,理解し,評価して活用できるヘルスリテラシーにさらに注目が集まった.ヘルスリテラシーは,COVID-19に適切に対応できる効果を持つかについて世界中で研究が開始され,それがCOVID-19に関する知識や行動と関連していたと指摘されている.パンデミックでは,政府や市民がすぐに行動を起こす必要があるため,ヘルスリテラシーの向上に時間をかけることは難しく,緊急の対応と封じ込めが求められる事態に個人や社会が備えるために育成しておくことが重要である.特にCOVID-19に対して適切に対処できるには,ヘルスリテラシーだけでは十分ではなく,政治社会経済的な側面を含めた新しく不確実で頻繁に変化する情報の信頼性を適切に評価して意思決定できるスキルが問われる.また,ヘルスリテラシーの新たな側面としてソーシャルメディアの普及を伴うデジタル化の便益とリスクを,グルーバルで政治的な側面から検討することが必要だとされている.パンデミック対応に必要な連帯や社会的責任を理解する力,健康に悪影響を及ぼす社会的・経済的な構造やプロセスを変化させるコミュニティの能力を向上させるよう政府などに求める力(社会的ワクチンとも呼ばれる),すなわち政治・社会を変える批判的ヘルスリテラシーが求められる.

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