日本健康教育学会誌
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特集:行動変容を促す健康教育・ヘルスプロモーションのアプローチ―COVID-19 をめぐる反省と課題から―
COVID-19が日本の口腔保健・歯科医療に与えたインパクト
深井 穫博
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2022 年 30 巻 2 号 p. 181-189

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抄録

目的:口腔保健及び歯科医療は,食とコミュニケーションの維持増進を目標とする.これらはいずれもCOVID-19のリスクに大きくかかわる.本稿ではCOVID-19が口腔保健・歯科医療に与えたインパクトと課題について,歯科医療提供側と住民の健康行動の観点から考察することを目的とした.

内容:口腔はSARS-CoV-2のレセプターであるACE2が発現する器官である.唾液,口腔粘膜に触れ,歯科治療の過程でエアロゾルが発生する歯科医療機関はSARS-CoV-2の交差感染のリスクが高い.しかし,COVID-19の特性に合わせた感染予防策を徹底することで感染リスクが低下することが明らかになってきた.実際,日本で歯科治療を介した感染事例はこれまで報告されていない.そのため,コロナ禍が始まった2020年には歯科受診者数が減少したが,翌2021年には2019年とほぼ同数に回復した.また,口腔の健康はCOVID-19の重症化リスクである糖尿病,肥満,COPD,循環器疾患と関連している.そのため歯周病予防はCOVID-19の重症化予防に有意に関連すると報告されている.

結論:今後,歯科医療機関は感染防御に強いエッセンシャルな医療機関とし公衆衛生の役割を果たす可能性がある.また生涯にわたる口腔の健康増進は,NCDs及びフレイル予防に加えてCOVID-19等新たな感染症の備えとなりうる.

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