2025 年 33 巻 3 号 p. 177-187
目的:母子への歯科保健教育の効果検証はこれまで交絡等の対処が不十分だった.本研究ではよりバイアスに対処可能なデザインを用い,子に対する歯科保健行動と母親自身の歯科保健行動への影響を検討した.
方法:小金井市の歯科教育参加親子に参加前後で無記名自記式質問紙調査を実施した.準実験デザインRecurrent Institutional Cycle Designを用い,開始時期をずらして介入群を設定し,群内群間前後比較を用いて内的妥当性の担保に配慮した.主要評価項目は母親自身ならびに子に対する歯科保健行動,自己効力感とし,子に対する歯科保健行動規範意識を効果修飾因子とした.開始時期や測定時期ごとに設定した群の介入前後差に分散分析を行った.
結果:介入前後で子に対する歯科保健行動,自己効力感は有意に改善したが,母親自身の歯科保健行動,自己効力感に有意差はなかった.子に対する歯科保健行動規範意識の高低により効果修飾が有意に見られ,特に低群では自己効力感の改善が認められた.
結論:歯科教育により子に対する歯科保健行動,自己効力感は改善したが,母親自身の歯科保健行動,自己効力感への波及は見られなかった.今後,母親への波及を考えた教育内容を検討する余地がある.また子に対する歯科保健規範意識が強い母親は規範意識に縛られた行動や自己報告バイアスが存在する可能性があり,介入や測定の再検討が必要である.