日本健康教育学会誌
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高校生の孤食の実態とその要因
―生活習慣, 食行動, 家族関係, 食卓イメージとの関連―
土屋 芳子大賀 英史小山 修斎藤 進佐々木 敏
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2004 年 12 巻 1 号 p. 9-18

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抄録

目的: 高校生の孤食の実態を時間及び空間の視点より検討し, 環境的要因, 個人的要因および家族関係などの心理的要因との関連を明らかにすること.
方法: 東京都内・多摩地区の都立高校3校の各学年2クラス男女674人に質問紙調査を行い, 夕食の孤食の傾向及び食堂とは別の部屋での孤食 (別室孤食) の経験の有無及びそれらの孤食と生活習慣, 食行動, 家族関係, 食卓イメージとの関連を分析した.
結果: (1) 孤食傾向は男女とも朝食が約50%, 夕食が10%強, 月1回以上の別室孤食の経験は男女共約30%であった. (2) 夕食孤食傾向は, 夜9時以降の帰宅, 塾通い, アルバイトと正の関連, 部活動と負の関連があり, 別室孤食経験は, アルバイトと正の関連があった. (3) 夕食孤食傾向及び別室孤食経験のある生徒ほど, 「親が自分の気持ちを考えてくれる」及び「家族と一緒に楽しいひとときを過ごしている」と思う者が少なく, 「家を出たい」と思う者が多かった. (4) 夕食孤食傾向及び別室孤食経験のある生徒は, 食卓を「コミュニケーションの場」及び「連絡の場」とイメージする者が少なく, 別室孤食経験者は「説教の場」とイメージする者が多かった.
結論: (1) 夕食孤食は, 塾通いやアルバイトによる物理的な時間の制約が関係している. (2) 別室孤食は, 時間のずれの制約に関係なく, 食卓を説教の場とイメージしていることが影響している. (3) 高校生の孤食は, 家族関係や食卓に対する否定的なイメージが影響している.

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