日本健康教育学会誌
Online ISSN : 1884-5053
Print ISSN : 1340-2560
ISSN-L : 1340-2560
健康教育におけるヘルスリテラシーの概念と応用
大竹 聡子池崎 澄江山崎 喜比古
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 12 巻 2 号 p. 70-78

詳細
抄録

ヘルスリテラシーは比較的新しい概念である.本稿ではその概念と込められた意味を解明することを目的とし, 海外で発表されたヘルスリテラシーに関する文献をレビューした.
ヘルスリテラシーは健康に関連した特定の文脈におけるリテラシーを意味する.リテラシーが一般的な社会生活能力を示すのに対し, ヘルスリテラシーはさらに発展した特有の能力を意味する.1990年代初め, ヘルスリテラシーは医療場面における患者のコンプライアンスとして, 狭義の意味で捉えられていた.ジャカルタ宣言で, ヘルスリテラシーは効果的な活動参加とエンパワーメントを達成するために極めて重要であり, その向上は健康を左右する社会的経済的環境に変化をもたらし個人と社会の健康を向上するとされている.また, 健康や医療に関する情報を取捨選択するうえで, それは批判的に評価する能力を人々に与えるという点でも注目される.
2000年Nutbeamは, ヘルスリテラシーの向上がヘルスプロモーションの文脈で健康教育の直接の成果であると提案し, 健康教育の役割が改めて認識された.ヘルスリテラシーの測定や実地活用については発展途上にあるが, その意義から更なる研究と発展が期待されている.
保健医療活動の要である健康教育の成果がヘルスリテラシーの向上であるという提案と, ヘルスリテラシーの概念が関係者の従来の思考を変える必要性を提起した点は示唆に富むと思われた.
〔日健教誌2004; 12 (2) : 70-78〕

著者関連情報
© 日本健康教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top