日本健康教育学会誌
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糖尿病者の職業性ストレス構造
杉本 洋
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2005 年 13 巻 1 号 p. 11-21

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抄録

目的仕事のストレッサー, ストレス反応 (生活習慣) , 健康影響 (血糖コントロール) , 修飾要因 (療養生活上の認識) の関係を説明する糖尿病者の職業性ストレスモデルを構築, 検証すること.
方法糖尿病をもつ勤労者145名に自記式質問紙調査を行った.
修飾要因としての機能を想定し, 作成した療養生活上の認識9項目の探索的因子分析を行い, 得られた結果に基づき因子を解釈, 命名した.従属変数に, HbA1c (血糖コントロール) を, 独立変数にHPI (生活習慣) , 療養生活上の認識 (修飾要因) 各因子を設定したモデル, 従属変数にHPIを, 独立変数に仕事のストレッサー, 療養生活上の認識各因子, ストレッサーと療養生活上の認識各因子の交互作用を設定したモデルの重回帰分析を行い, 糖尿病者の職業性ストレスモデルを検証した.
結果探索的因子分析の結果4因子が抽出され, それぞれ「時間保有感」「肯定的血糖コントロール感」「人的サポート感」「仕事と療養のバランス感」と命名された.重回帰分析の結果, 糖尿病者のストレスは, ストレッサー (量的労働負荷) がストレス反応 (HPIの低下) を引き起こし, 健康影響 (HbA1cの悪化) へとつながっている構造を示した.なお, 療養生活上の認識のうち, 強い時間保有感と, 中程度の肯定的血糖コントロール感が量的労働負荷のHPIに及ぼす影響を緩衝していた.

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