2005 年 13 巻 1 号 p. 34-45
目的: 大学低学年生における, 1) Daily Hassles (以下DH) を記述的に明らかにすること, 2) 現在の生活状況, タイプA行動傾向, Sense of Coherence (以下SOC) およびソーシャルサポートに注目し, それらとストレスの大きさを表す重み付けしたDH総量との関連を明らかにすることによって, 1次予防的健康教育の取り組むべき課題を検討すること.
方法: 都内の4年制3大学1, 2年生を対象に自記式質問紙調査を実施し, 有効回答621名について分析を行った.2) の分析には重回帰分析を用いた.
結果: 1) 発生率が高いDHは「興味のない授業」などの大学生活に関する出来事が, ストレッサー強度が高いDHは「恋人との関係の変化」などの人間・社会関係に関する出来事が, また発生率・ストレッサー強度ともに高いDHは「睡眠不足」「時間不足」などの生活一般に関する出来事や進路に関することがあげられた.2) DH総量は, 現在の生活環境のなかで他者と接触する機会が多いほど高くなりやすく, とりわけ, SOCが低いほど高かった.タイプA行動傾向およびソーシャルサポートとは有意な関連は見られなかった.以上より, 教養課程の授業という教育機会を重視して, 学生が抱えるDHやそれによるストレスを予防し, 軽減するための実践的示唆が得られた.