日本健康教育学会誌
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我が国の学校における性・エイズ教育のピアエデュケーションプログラム開発の展望
―中学生・高校生を対象としたプログラムの比較―
渡部 基野津 有司
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2005 年 13 巻 2 号 p. 68-76

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抄録

本研究では, 我が国の学校において, 中学生または高校生を対象とした性・エイズ教育のピアエデュケーションプログラムの中から, 介入評価により一定の効果が認められているプログラムを取り上げ, ピアエデュケーターの養成内容, ピアエデュケーターによる教育内容およびその有効性の評価方法について明らかにし, 今後のプログラム開発の方向性を検討した.その結果, ピアエデュケーター養成プログラムは, 性・エイズ教育の基礎知識となる授業科目を修得した医療・看護職を志す大学生を対象としており, その中では, ピアエデュケーターが活用する指導方法の演習が行われていた.ピアエデュケーターには教育の基盤も重要であり, 今後は保健体育教諭や養護教諭を志す大学生を対象としたプログラムの開発も有意義であることが考察された.また, ピアエデュケーターによる教育プログラムは, 性・エイズに関する知識や態度の改善を目標として実施され, ピアエデュケーターが生徒と同世代の仲間としてのロールモデルの役割を果たすためにディスカッション等に参加していた.ピアエデュケーターのこうした役割は, ピアエデュケーションの特徴の一つであり, 教員が行う性・エイズ教育を補完する意味においても積極的に活用されるべきであると思われた.さらに, 教育プログラムの有効性の評価方法については, 対照群を設定しているものは少なく, 介入後のみで質問紙を用いて評価していることが多かった.準実験的デザイン等による信頼性の高いデータが得られる評価デザインが必要であることが指摘された.

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