日本健康教育学会誌
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K-WIFYモデルを利用した韓国大学生の参加的健康教育効果
Eun Woo NamEun-Joo Jo守山 正樹
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2007 年 15 巻 1 号 p. 19-32

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抄録

本研究の目的は, 現代の韓国に適用できる参加的な健康増進教育方法の開発, および同方法による働きかけの評価, である.検討の出発点として日本で使用実績がある対話誘発型の質問系列WIFYを用いた.予備調査として, 2004年9月始めに韓国釜山市のK大学で学生20名にWIFYを問いかけ, WIFYの特徴 ( (1) 正解がない形での質問, (2) 記入結果の参加的共有) への学生の反応を探った.さらに問いかけにおける健康への志向性を強めるべく, 質問方法の改変を検討し, WIFYを問いかける際の三つの前提条件中に健康を含める方法を考案した.出来上がった質問方式をK (Korea) -WIFYと命名し, 回答を書き込むワークシート (K-WIFYシート) を作成した.
2004年9月末にK大学の学生216名にK-WIFYを試行した.働きかけの時間は60-70分で, 学生たちは教育の全過程に参加し, (1) K-WIFY1・2・3の質問に対する回答の作成および自分自身の回答への説明と解釈, (2) K-WIFYシートによるグループでの対話と討論, (3) 討議後の感想の記録, の順で進めた.K-WIFY1・2・3への学生の反応については, K-WIFYシートに記入された言葉をカテゴリー化した上で, 主要な言葉の出現頻度と順位を分析した.討論後の効果については, 同シートに記入された感想/説明を素材として2人の研究者が独立に内容分析を行い, 判断が一致した187名での効果について, 検定を実施した.
学生が健康と関連して重要に思う要素は19個のカテゴリーに分類され, 自然, 特別な場所, 精神が上位に位置づけられていた.日常生活の観点 (K-WIFY1) からは食生活および睡眠/休息が, 地域的勧点 (K-WIFY2) と世界的観点 (K-WIFY3) からは特別な場所と自然が, 最も重要と位置づけられていた.対話と交流・討論後の教育効果につき, 学生187人の判断は“効果あり”137人, “効果無し”4: 人, “どちらとも言えない”9人の順であった.
韓国の大学生を対象とするK-WIFYを利用した参加的健康増進教育は, 健康に関連する生活上の重要要素を概念化する効果を示した.参加的な相互作用を通して, 健康に対する観点の変化と拡大が達成された.

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