日本健康教育学会誌
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「生きる力」を育む教育をベースとした歯科保健プログラムの開発と評価
筒井 昭仁山本 未陶松岡 奈保子三浦 喜久雄今里 憲弘久保山 裕子
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2007 年 15 巻 3 号 p. 144-155

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抄録

「生きる力」を育む教育をベースに, 児童の歯肉炎を予防し, 良好な歯周状態を維持する新しい歯科保健教育プログラムを4つの研究を通じて開発し, 評価した.
第1研究では, 指導型と学習援助型教育プログラムを別々のクラスで並行実施した.授業回数は3回であった.指導型教育は歯肉の改善をもたらしたが, 6カ月後調査で歯磨き行動は持続していなかった.学習援助型教育はまったく逆の結果をもたらした.
第2研究では心理行動学的影響を評価した.自己管理スキルは知識や態度, 歯磨き行動と密接に関連していた.
第3研究では, 指導型を主に一部援助型を含んだ教育と援助型を主に一部指導型を含んだ教育の評価を行った.両方とも教育直後の歯肉状態改善と8か月後の歯磨き行動の持続に有効であった.特に, 援助型を主に一部指導型を含んだ教育はより効果的であった.
第4研究では, 授業回数を3回から2回に短縮した教育プログラムのプロセス, インパクト, アウトカム評価を行った.児童は適切な歯磨き行動を獲得し, 歯周状態は良くなっていた (アウトカム評価) .児童の歯科保健への気づきを増大させ, 歯科保健に対する積極的な態度を身につけていた (インパクト評価) .担任教師と歯科衛生士は, お互いの能力を活かして教育をしていた (プロセス評価) .
一連の研究を通じて3つの新しい歯科保健教育プログラムを完成させた.これらのプログラムは学校の事情によって選択が可能である.

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