日本健康教育学会誌
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TYA方式による健康教室参加者の学びと参加体験に関する現象の検討
千葉 敦子竹森 幸一山本 春江工藤 奈織美浅田 豊
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キーワード: 健康教育, 参加, 減塩, 質的研究
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2007 年 15 巻 3 号 p. 156-166

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抄録

目的: 本研究の目的は, 参加と対話を重視したTYA (Try Angle) 方式による健康教室において, 参加者の学習状況及び参加体験に関する現象を明らかにすることである.
方法: 対象はA県B町で行われた健康教育プログラムTYA方式による5ヶ月間の減塩教室に参加した40~68歳の女性19名である.参加者に対して教室終了後1ヶ月以内に学びや感想についてインタビューを行い, 質的に分析を行った.
結果: 筆記および逐語記録から, 健康教室の参加体験と判断できる箇所を抽出し, 類似性によりカテゴリー化した.134のデータが抽出され, それは37のサブカテゴリーと16のカテゴリーに分類された.このうち9カテゴリーの結果は『気づき』『振り返り』『理解』『意欲』『減塩行動の変化』『実践効果の実感』『継続の意欲』『学びによる他者への認識の拡がり』『食習慣以外への学びの拡がり』であった.この9カテゴリーからは【減塩行動の変容と学びの拡がり】というテーマが見出された.残りの7カテゴリーは『驚き』『楽しみ』『感心』『満足感』『喜び』『不満感』『期待はずれ』であった.これらからは【心がうごく体験】というテーマが見出された.
結論: 参加者は健康教育プログラムTYA方式による減塩教室に参加することで【減塩行動の変容と学びの拡がり】と【心がうごく体験】をしていた.参加と対話を重視したプログラムは, 対象とする行動変容を超えた学習効果を参加者にもたらしうることが示唆された.

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