日本健康教育学会誌
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健康推進員の主体化評価指標の作成と指標を用いた健康推進員の主体化の状況
藤浪 千種松田 正巳
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2008 年 16 巻 3 号 p. 78-93

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抄録

目的: 健康推進員の主体化の状態を構造的に捉え, それを評価できる指標を作成すること, および, 作成した指標を用いて健康推進員の背景の違いによる主体化の比較検討を行う事を目的とした.
方法: 健康推進員14名を対象に, 健康推進員活動の状況・意識の変化などについてのインタビューを行い, そこから健康推進員の主体化に関する質問項目を作成した.作成した質問項目を用いて健康推進員354名を対象に質問紙調査を実施し, その結果から「健康推進員の主体化評価指標」を作成した.そして作成した指標を用いて, 健康推進員の背景の違いがそれぞれの主体化にどのような影響を与えているかを検討した.
結果: 対象者354名に質問紙を配布し226名から回答が得られた (回収率63.8%) .健康推進員の主体化に関する質問項目は因子分析の結果39項目5因子となった.各因子は「組織・地区グループとしての成長」「健康推進員としての成長」「人間関係の広がり」「健康推進員活動の生活との結びつき」「地域志向性の高まり」であり, これらを「健康推進員の主体化評価指標」と名付けた.また, 指標は一定の信頼性・妥当性を備えていることが確認できた為, 指標を用いてS県A市における健康推進員の主体化の状況を比較検討した.
調査を行った時点のA市では, 過去に健康推進員としての経験を持つ者が今回初めて健康推進員となった者より主体化得点が高いこと, 健康推進員がまだ受身の状態であり各地区グループの相互作用がうまく働いていない段階であると推察されること, 地区のメンバーよりリーダーの主体化得点が高いこと等が示唆された.
結論: 健康推進員の主体化評価指標は5因子39項目から成り, 一定の信頼性, 妥当性が確認された.A市における指標を用いた調査によると, 過去に健康推進員の経験を持つ者やグループリーダーの主体化得点が高い事, グループの相互作用がうまく働いていない可能性がある事などが示唆された.

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