日本健康教育学会誌
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中高年男性の食事量の目測力の形成・II報
―料理形態でみた摂取熱量・食塩量の目測力の形成と変化―
針谷 順子足立 己幸
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1996 年 3 巻 1 号 p. 11-32

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抄録

本研究の目的は, 目測の精度を高める上で有効な料理選定の枠組みを作るたあに, 中高年男性の料理の目測力と料理形態との関連を検討することである。
本研究は, セミナーに参加した中高年男性勤労者71人に対して実施した。
資料はセミナー前と後に収集した。
目測誤差係数 (CMR) は, 実測値と目測値の差から求め, 主食・主菜・副菜, 調理法, 調味料, 温度や外観により多様な料理形態で比較した。
1.セミナー前の32料理の熱量の目測誤差係数の平均値は223±356, 食塩量の平均値は503±461であり, セミナー後はそれぞれ57±36, 62±43に変化した。熱量と食塩量のCMRは31料理中18と25料理中9の約半数の料理で目測値が有意に低下し, 目測力は向上したと捉えられた (t-test) 。
2.熱量の目測力は, 白飯で最も向上した。目測力と調理法との関連もみられ主食, 主菜 (特に炊く, 揚げる, 生の料理) で向上した。
3.食塩量の目測力でも食事中の位置づけとの高い相関がみられた。また, 各料理の食塩量, 温度や調味料の種類などでも関連がみられた。最も目測力が向上したのは刺身や魚の揚物であった。
4.以上の結果より, 熱量や食塩量の目測の向上並びに目測の精度を高める料理の選定の枠組みに主食・主菜・副菜等の料理群が有効であることが考察された。
〔日健教誌, 1996; 3: 11-32〕

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