日本健康教育学会誌
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小児肥満と生活行動との関連に関する疫学的研究
小野寺 杜紀神田 晃渡辺 由美方 泓川口 毅
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キーワード: 小児, 肥満, 食行動, 運動, ストレス
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1998 年 6 巻 1 号 p. 1-13

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抄録

埼玉県I町の小学校4年生248人を対象に、小児肥満について遺伝的および環境的要因を解明するために、本人の身体的状況・血液検査と、運動、食行動、間食摂取、およびストレス反応に関する質問紙調査を行った。肥満度の親子相関は、男女共に母親との相関がみられ、男子は、両親共非肥満の群に比べて、一方の親が肥満、両親共肥満の順に子の肥満の出現頻度が高かった。また、肥満群は男女共に血圧値が高く、男子ではHDLコレステロール値、AI値が高かった。男子の肥満群では、運動が嫌いで、これらの実施している者の率が低く、女子でも運動が嫌いと答えた者がやや多かった。食行動では、「給食を残さず食べる」と「食べ過ぎと注意される」が肥満群に多く、肥満群は非肥満群に比較して間食の摂取している率が低い傾向がみられた。ストレス反応については、男子では肥満群にストレスの強い傾向がみられたが、女子では認められなかった。これら肥満に係わる生活環境因子について数量化理論第II類の手法を用いて分析した結果、男女共「食べ過ぎと注意される」、「何かに集中できない」が、男子では「寂しい」、女子では「誰かに怒りをぶつけたい」と「給食を残さず食べる」が肥満傾向に働いていた。更に「食べ過ぎと注意される」場合の行動パターンをみると、肥満児の場合は「むしゃくしゃすると食べる」や間食において負の相関を示したが、非肥満児の場合は、男子では「夕食後に飲食をする」や、女子では「よく噛まずに食べる」、「お腹一杯になるまで食べる」など肥満の原因となる食行動をとる傾向がみられた。

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