日本健康教育学会誌
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用語認識から始まる脂質および食物繊維に関する系統的教育と小中学生の発達への適用
丸谷 宣子神田 あづさ
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1998 年 6 巻 1 号 p. 25-31

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抄録

循環器系疾患予防に対する学校栄養教育プログラム作成の基礎データを得るため、小中学生を対象として、特に脂質と食物繊維関連の知識、自己効力、行動性に関する教育調査を行った。コレステロールでは用語の認識率は、小3以下では数パーセントであったが、小4では男女とも約36%となり、小3と小4の間で大きな成長が認められた。その後、学年とともに認識率は上昇したが、中3では男子75.9%、女子98.1%と男女差が大きかった。食品中の所在についても、知識の習得率は小3と小4の間で用語と連動した成長が示された。食物繊維に関しても、用語および食品中の所在に関する知識の習得率はほぼ同様な学年推移であった。上記2成分と循環器系疾患との関連性についての認識率は小学校高学年では男子の方が高かったが、中学生では女子の方が高く、また男女差が著しかった。リノール酸については用語および食品中の所在についての知識の習得率は著しく低かった。上記の結果から、脂質と食物繊維関連の系統的教育は小学校中学年から開始することが可能であり、循環器系疾患予防との関連性の知識については、中学校で学習が可能であることが分かった。特に男子の場合、小学校段階で、教育を開始しておくことが必要と思われる。また、自己効力を高めることが健康的な食行動を促すという結果が示された。

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