日本健康教育学会誌
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大学生のSense of Coherence (首尾一貫感覚, SOC) とその関連要因の検討
木村 知香子山崎 喜比古石川 ひろの遠藤 雄一郎萬代 優子小澤 恵美清水 準一富永 真己藤村 一美柿島 有子加藤 礼子田村 麻紀土居 主尚山口 哲男吉野 亨
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2001 年 9 巻 1-2 号 p. 37-48

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抄録

目的: Antonovskyが提唱した健康生成論 (salutogenesis) の中核概念であるSense of Coherence (首尾一貫感覚: 以下SOC) 概念について, 現在の環境や個人の特性, 生育環境を同時に検討し, 関連要因を明らかにすること.
方法: 東京都内の国・私立大計3大学の1, 2年生に質問紙調査を行い, 有効回答593票を得た.分析には, 階層的重回帰分析を用いた.
結果: 自己に原因を帰属させる傾向が強いこと, サポートネットワーク数が多いこと, 強く志望した大学に入学したこと, 小中学生時に支援的な家庭に育つこと, 中学・高校時期の学校生活について高く評価する項目が多いことは, SOC得点を高める要因となっていることが示された.また, 女性は多くのサポートネットワークを得ていることで男性と同レベルのSOCを維持している可能性, 支援的な家庭で育つことは, 直接的な影響に加えて, 現在の主観的な家族内のサポートネットワークが多くなることを通じた間接的な影響を持つことが示唆された.宗教の有無, A型行動タイプは, 有意な関連は見られなかった.
結論: 大学生のSOC得点を高める要因として, 先行研究と同様に, 自己に原因を帰属させる傾向が強いこと, 広い主観的サポートネットワーク, 支援的な家庭環境が関連していることが示され, また, 新たに中学・高校時期の学校生活での肯定的な経験が関連していることが示された.

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