日本健康教育学会誌
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民芸品づくり共同作業場での参加型栄養学習プログラムの試み
―パナマ共和国ノベ族農村女性の事例―
石川 みどり足立 己幸
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2001 年 9 巻 1-2 号 p. 49-57

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抄録

パナマ共和国ノベ族女性たちの食の自立を支援するために, 民芸品づくりによる収入向上をめざす女性組織に参加する女性たちを対象にした参加型栄養教育プログラムを計画, 実施, 評価し, その方法を検討した.
女性たちの食・栄養に関する学習ニーズを調査した結果をもとに, 学習会を4回行った.目標は「食・栄養に関する問題を改善するための自分の課題をみつけること」とした.女性たちがいきいきと発言できるために民芸品づくりの共同作業場を活用した.
A村17名, B村21名が参加した.学習者の課題が, 学習後により明確になった女性 (以下, 明確群) は, A村で52.9%, B村で57.1%みられた.明確群は非明確群と比べ, 年齢, 教育レベル, 財産の所有, 民芸品づくり組織への参加度に有意な関連はみられなかったが, 自宅学習中に学習者仲間, 家族, 地域の人と学習内容を共有する行動が有意に多かった.健康教育の影響力を測定するスケールとして“広がり”があることはすでに示されており, 今後, 共有行動の広がりを促進する栄養教育方法の検討をすすめることを課題としたい.

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