2005 年 14 巻 1 号 p. 19-23
茶からのマンガン摂取量を推定するため,健康な学生(男性69名,女性39名)の茶系飲料(緑茶,紅茶,ウーロン茶,各種ハーブ茶)の摂取を調査し,あわせて学生が摂取した茶系飲料のマンガン濃度を原子吸光法で測定した。学生の茶系飲料の摂取量は689±491(平均値±標準偏差)ml/dayであり,個人差が著しかった。緑茶,紅茶,およびウーロン茶浸出液のマンガン濃度は大半が0.5〜2.5μg/mlであり,食品成分表記載値よりやや低い値だった。麦茶浸出液のマンガン濃度は大半が0.1μg/ml未満の低値だった。茶系飲料からのマンガン摂取量の推定値は0.68±0.67(平均値±標準偏差)mg/日だった。草系飲料から1.0mg/日以上のマンガンを摂取する者の割合は26%だった。以上より,茶は日本人のマンガン摂取に大きく寄与すると結論した。