2009 年 17 巻 4 号 p. 10-15
本研究は野外活動体験が大学生の気分や感情にどのような影響を及ぼすのか,Profile of Mood States (POMS)調査から検討した。野外活動体験前(活動前)と比較して,野外活動体験後(活動後)の活気得点は有意に増加した。疲労得点を除いて,活動後の他の陰性気分得点は,すべて有意に低下した。活動後のtotal mood disturbance (TMD)得点は,活動前と比較して有意に低値を示した。活動後の活動効果得点では,楽しさ,気分,充実・満足,達成感,睡眠および食事が高い値を示した。活動後の活気得点と活動効果得点の気分,精神的疲労の回復,からだの疲れの回復および食事との間でそれぞれ有意な正の相関がみられ,活気得点の変化量(活動後値-活動前値)とTMD得点の変化量(活動後値-活動前値)との間で有意な負の相関関係がみられた。以上の結果から,本研究での野外活動体験は大学生の陰性気分を低下させ,陽性気分を上昇させ,気分改善に効果的てあることが示唆された。