抄録
病院施設における看護基準の違いや透析室内に配置される看護師数などの違いから,透析患者のQOLに対する影響について410名の透析患者を対象にKDQOL-SF^<TM>1.3日本語版を使用し調査を行った。結果,(1)透析施設の看護師配置数は,透析ベッド10床あたり2.67人であり,7:1看護基準を採用している施設は10:1や15:1看護基準を採用している施設よりも透析室に従事する看護師数は多かった,(2)公立病院では10床あたりの看護師配置数が私立病院・診療所よりも多く,私立病院・診療所では10床あたりの臨床工学技士数が公立病院よりも多かった,(3)対象者は日本透析医学会による全国調査の値を上回る治療条件にて透析を受けており特に10:1看護基準を採用している施設においてはKt/Vが高値であった,(4)7:1看護基準を採用している施設において腎疾患特異的尺度の下位項目である「症状」,「腎疾患の日常生活への影響」,「睡眠」の得点が有意に高値であり健康関連QOLが高かった。以上のことから,7:1看護基準を採用している施設では,透析室内の看護師配置数を減少させることなく患者のQOLが向上することが示唆された。また,看護実践での不足な部分をコ・メディカルとの共同を積極的に図ることにより患者のQOLの向上を目指すことができると考える。