2013 年 21 巻 4 号 p. 277-282
近年,健康志向の高まりとともに自然食品が注目されるようになり,ハチミツはミネラルやアミノ酸など豊富な栄養素が注目され,健康食品として需要も高まっている。一方,ハチミツは医療への利用という点でも注目されており,欧米各国をはじめ日本でも幾つかの医療機関で創傷治療に利用されている。日本国内で流通しているハチミツの90%以上が外国産である。食に対する不安や消費者の本物志向,商品への信頼などから日本産製品の需要が高まり,ご当地ブランドなども注目されている。ハチミツの種類は豊富で,効能効果を一定に保つためには品質の安定および管理が不可欠であり,産地や種類(蜜源)を特定する技術の確立が必要であると考えられる。本研究では,著者らが行ったハチミツ中の微量元素分析方法に蜜源指標である花粉分析を取り入れ,2つの分析方法を合わせることでハチミツの種類(蜜源)判別ができるかを検討した。花粉分析において目的花粉含率はレンゲハチミツで60%台,アカシアハチミツで20%台であった。花粉分析結果により花粉の種類確定をした。これらのハチミツを用いて微量元素による判別分析で分析した結果,レンゲハチミツ75%,アカシアハチミツ96.4%の正解率で同一グループの分類が出来た。これらの結果を合わせて種類の判別を行った。