日本健康医学会雑誌
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原著
加熱調理が牛肉中の鉄とセレンの栄養有効性に及ぼす影響
由上 文子吉田 宗弘細見 亮太福永 健治
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26 巻 (2017) 1 号 p. 17-22

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抄録

牛肉を加熱調理した場合に,含有される鉄とセレンの栄養有効性にどのような変化が生じるかを検討した。タンパク質,鉄,セレン濃度がいずれも16%,20μg/g, 110ng/gである3種の飼料(カゼイン飼料,生牛肉飼料,ロースト牛肉飼料)を調製した。カゼイン飼料は,タンパク質源がミルクカゼイン,鉄源がクエン酸第二鉄,セレン源がカゼイン(15ng/g)と亜セレン酸ナトリウム(95ng/g)であり,2種の牛肉飼料は,タンパク質源,鉄源,セレン源がすべて調製した生牛肉粉末またはロースト牛肉粉末である。4週齢のWistar系雄ラット18匹を6匹ずつ3群に分け,調製した3種の飼料をそれぞれに与えて4週間飼育した。ヘモグロビンと血清トランスフェリン飽和率は牛肉を与えた2群が有意に低く,肝臓と腎臓の鉄濃度もこの2群がカゼイン群よりも低値だった。牛肉を与えた2群を比較すると,ヘモグロビン,血清トランスフェリン飽和率,肝臓鉄濃度において,ロースト牛肉粉末を与えた群が生肉粉末を与えた群よりも低い値を示す傾向があった。血清と肝臓のSe濃度において,生肉群が他の2群に比較して有意に低い値を示した。ロースト牛肉投与群のSe濃度は,血清と肝臓ではカゼイン群と同等だったが,腎臓ではカゼイン群よりも有意に高い値を示した。これに対して,グルタチオンペルオキシダーゼ活性値は,肝臓と腎臓において牛肉を与えた2群がカゼイン群よりも低値を示す傾向があり,肝臓ではカゼイン群とロースト牛肉群との間に有意差が認められた。グルタチオンペルオキシダーゼ活性値のセレン濃度に対する比は,ロースト牛肉群が他の2群よりも小さな値を示した。以上より,加熱調理は,牛肉中の鉄とセレンの有効性を低下させる可能性があると考えられた。

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