2018 年 27 巻 1 号 p. 62-67
食品に含まれるリン含量について,食品標準成分表による計算値と化学分析による実測値との間に差が生じる食品があることが知られている。本研究では,これまでに報告のない即席中華めんおよび中華スタイル即席カップめんのリン含有量について,食品標準成分表にもとづき算出した計算値と化学分析による実測値との差異を評価した。即席中華めん20種と中華スタイル即席カップめん14種を収集し,日本食品標準成分表2015年版(七訂)にもとづく計算値と,モリブデンブルー法による実測値を求めた。即席中華めん油揚げめん1食あたりのリン量の計算値は平均値113mg,標準偏差9mgであり,実測値は平均値157mg,標準偏差58mg,即席中華めん非油揚げめん1食あたりのリン量の計算値は平均値117mg,標準偏差6mgであり,実測値は平均値155mg,標準偏差53mgであった。一方,中華スタイル即席カップめん油揚げめん1食あたりのリン量の計算値は平均値129mg,標準偏差29mgであり,実測値は平均値165mg,標準偏差48mg,中華スタイル即席カップめん非油揚げめん1食あたりのリン量の計算値は平均値128mg,標準偏差26mgであり,実測値は平均値157mg,標準偏差27mgであった。化学分析値は計算値よりも,即席中華めん油揚げめんで平均44mg,非油揚げめんで平均38mg,中華スタイル即席カップめん油揚げめんで平均36mg,非油揚げめんで平均29mg高かった。食品標準成分表を用いて,即席中華めんおよび中華スタイル即席カップめんを高頻度に摂取している人のリン摂取量を評価する場合には誤差が生じる可能性があるため,注意が必要であると考えられる。