日本健康医学会雑誌
Online ISSN : 2423-9828
Print ISSN : 1343-0025
原著
首都圏の大学病院に勤務する看護師のバーンアウトの関連要因
北島 裕子鈴木 英子佐々木 晴子
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2020 年 29 巻 1 号 p. 17-26

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抄録

首都圏の大学病院に勤務する看護師のバーンアウトの関連要因を明らかにすることを目的に,調査協力の得られた首都圏の大学病院1施設の全看護師1154名を対象に無記名自記式質問紙調査を実施した。調査項目は,1)基本属性(性・年齢等),2)個人要因:看護職を継続する意思を尋ねた「看護職継続意思」,相談相手,ストレス対処能力・健康保持能力と言われるSense of Coherence(3項目版SOC尺度),パーソナリティ(日本語版TIPI-J),3)職場環境要因:残業時間,夜勤・当直回数,勤務場所,勤務体制,職位,ワーク・ライフ・バランス(看護職のワーク・ライフ・バランス尺度),医療事故回数,配属先への満足度,陰性感情(患者に対する陰性感情経験頻度測定尺度),時間管理(時間管理尺度),4)目的変数:バーンアウト(日本版MBI-HSS)であった。

年齢・性別・MBI-HSSに欠損のない有効回答520名(男性24名,女性496名,有効回答率45.1%)の各平均値(平均値±標準偏差)は,年齢は32.4±9.3歳,看護師経験年数は,10.3±8.9年,MBI-HSS合計得点は,11.6±2.7点だった。重回帰分析の結果,職場環境要因であるワーク・ライフ・バランス尺度の下位尺度「仕事と生活の満足度」(β=-0.28),「キャリア能力開発」(β=-0.19),「勝手なことばかり言う患者が嫌になった(陰性感情)」(β=0.18),個人要因として,「看護職継続意思 あまり思わない」(β=0 .17),「SOC合計」(β=-0 .17),パーソナリティの「神経症傾向」(β=0.16)とバーンアウトとの関連が認められ,調整済みR2は,54%だった。

看護師自身のSOCを高めること,看護管理者は,ワーク・ライフ・バランスを促進させること,加えて神経症傾向の者・看護職継続意思の乏しい者を見極め,具体的なサポートをすることでバーンアウト予防ができると考えられる。また,患者に対する陰性感情に関するさらなる研究が必要と考えられる。

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