2020 年 29 巻 2 号 p. 192-198
人間ドック受診者に対して看護職が提供する健康支援業務を抽出し,会員制人間ドックの受診者40名と担当看護職2名を対象に各業務の提供状況について双方向調査を実施した。両者ともに提供の認識があり重点度が高いと評価した業務は,「顧問医・連携医以外を紹介」,「紹介病院についての話し合い」,「紹介病院についての要望の配慮」,「電話での健康相談の利用」,「パンフレットを用いた説明」であった。
人間ドックで求められる看護職の健康支援機能は,医師の説明を補助し受療を仲介して受療行動を支援するとともに,電話での健康相談を利用しパンフレットを用いた説明によって医師の説明を補助し健康増進行動を支援することであった。電話での健康相談は健康支援と認識されない場合もあるので,説明前に要点を書き留めるよう求めることで情報が明確に伝わり支援として認識され効果も高まると考えられた。健康行動に関連する知識が高度化・複雑化するなか,看護職が受診者の健康情報を把握したうえで医師による説明に同席し,対面による支援を重ねて受診者との関係を構築することで継続した助言・指導が効果を発揮し,健康支援につながることが示唆された。