日本健康医学会雑誌
Online ISSN : 2423-9828
Print ISSN : 1343-0025
原著
ロコモティブシンドロームと健康に関する自覚との関連
—製造業に従事する労働者への調査から—
田邉 綾子塩満 智子内海 沙織蒲原 真澄吉永 砂織鶴田 来美
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 29 巻 4 号 p. 409-416

詳細
抄録

本研究の目的は,労働者のロコモティブシンドローム(以下,ロコモとする)と健康に関する自覚との関連を明らかにすることである。

対象者は,A県に所在する製造業の従業員174名であり,ロコモ度テストと質問紙調査を実施した。ロコモ度テストとして,立ち上がりテスト,2ステップテスト,ロコモ25を実施した。質問紙調査の内容は,対象者の基本的特性,健康に関する自覚で構成した。調査時期は2018年9月であった。ロコモ度テストの結果,ロコモ度1および2に該当した人をロコモ該当者とし,ロコモ該当者と非該当者の2群に分けて分析した。ロコモと健康に関する自覚との関連をみるため,χ 2検定もしくはFisherの直接確率法を用いて分析した。

労働者のロコモの実態について,対象者の25.3%がロコモに該当していた。健康に関する自覚については,40歳未満の若年者は体力に不安のある人の割合が高く,膝痛は40歳以上の中高年者で多かった。また,ロコモと健康に関する自覚との関連を見た結果,ロコモ該当者は,自身の健康状態を健康でないと認識し,膝や腰,股関節,肩に痛みを有していた。

労働者に対して運動器を含めた健康支援策を講じるには,本人の自覚を大切にし,軽度の身体的不調を見逃さず,早期予防のために運動指導や生活指導といった保健指導を実施する必要性が示唆された。

著者関連情報
© 2021 日本健康医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top