抄録
本論文は両端自由支持の眞直柱が略その軸に沿ふ荷重を受ける場合、柱が如何なる方向に曲るべきかに就て理論的考察を行つたものである。そして荷重の偏心量を限りなく小なりとする際即ちEuler式の場合は、従耒の仮定の様に柱は最も曲り易い方向即ち断面慣性モーメントが最小である方向へ曲るべきであることを論じ、偏心量を微小又は有限とする実際的の場合に於ては、柱の曲り量が荷重の偏心量に比べて余り大きくない際は、偏心の大きさ及び方向並に断面の主慣性モーメントの比如何に依て、柱の曲る方向が一様でないこと及び偏心量が曲り量に比べて充分大きい際は、大抵の場合上記の最も曲り易い方向へ曲ることを述べ、尚柱の當初曲りをも考へに入れる場合並に柱の一端又は両端が固定である場合にも同様の考察が得らるべしと述べてゐる。