近畿理学療法学術大会
第49回近畿理学療法学術大会
セッションID: 32
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大腿四頭筋筋出力時における筋硬度と筋厚の変化
*塚越 累池添 冬芽市橋 則明
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キーワード: 大腿四頭筋, 筋硬度, 筋厚
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抄録

【目的】筋出力が高まるにつれ,筋硬度は上昇していくことが知られており,上腕二頭筋や総指伸筋では最大等尺性随意収縮(100%MVC)の60%程度までは筋出力と筋硬度は直線的な関係にあると報告されている。しかし,より高い筋出力時における筋硬度の変化は明らかではなく,下肢筋を対象とした報告は少ない。また,筋出力によって変化し得る筋厚と筋硬度の関係についての報告はほとんどない。本研究の目的は,大腿四頭筋の筋出力に伴う筋硬度と筋厚の変化およびその関連性を明らかにすることである。 【方法】健常成人男性15名(年齢25.1±4.6歳)を対象とした。対象者には研究内容を説明し,同意を得た。筋力測定器(OG技研社製ISOFORCE GT-330)を使用して,膝60度屈曲位における100%MVC時の右膝伸展筋力を測定した後,被験者にモニターで直接確認させながら安静時から100%MVCまで20%MVC間隔でランダムに筋出力させた時の右側の大腿直筋(RF)部および外側広筋(VL)部の筋硬度と筋厚を測定した。筋硬度の測定には筋硬度計(NTI製マイオトノメーター)を使用し,各筋を2kgの圧迫力で押したときにプローブが貫入した筋移動距離を筋硬度値として2回測定し,平均値をデータとして採用した。筋厚は超音波診断装置(東芝メディカルシステムズ社製famio cube)を使用し,RF部はRFと中間広筋,VL部はVLと中間広筋を合わせた筋厚を測定した。反復測定分散分析と多重比較検定を使用して,筋出力の上昇に伴う筋移動距離と筋厚の変化を検討した。さらに,筋移動距離および筋厚の安静時に対する100%MVC時の変化率を算出し,その関連性について相関係数を求めて検討した。 【結果と考察】筋移動距離はRF部およびVL部ともに安静時から100%MVCへかけて有意に減少し, 20%MVC毎の各水準間に有意な差が認められた。筋厚はRF部では20%MVC毎の各水準間に有意差はみられず,VL部では安静時に比べ20%MVCの方が有意に低い値を示した以外は20%MVC毎の各水準間に有意な差はなかった。安静時に対する100%MVC時の筋移動距離の変化率はRF部-64.5%,VL部-61.1%であった。筋厚の変化率はRF部では5.9%と有意に増加したが,VL部では-1.8%と安静時に比べて100%MVC時では僅かな減少を示した。筋移動距離の変化率と筋厚の変化率との相関はRF部(r=-0.12)およびVL部(r=0.31)ともに有意な相関を示さなかった。これらの結果から,膝60度屈曲位においては筋出力の増加に伴ってRF部およびVL部の筋硬度は直線的に増加する一方で,筋厚は筋出力の初期に変化し,その後の変化は僅かであることが明らかとなった。また,最大筋力発揮時の筋硬度と筋厚の変化には関連性がみられなかった。本研究により,膝60度屈曲位の大腿四頭筋においては,筋厚の変化は筋力発揮の指標にはならず,筋硬度の変化が最大筋力発揮時までの筋出力の程度をより鋭敏に反映していることが示唆された。

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© 2009 社団法人 日本理学療法士協会 近畿ブロック
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