2024 年 9 巻 p. 47-58
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を契機として,大会組織委員会と全国の大学が大学連携協定を締結し,オリンピック・パラリンピック教育を展開した.本研究では,この協定に基づき実践されたオリンピック・パラリンピック教育の実態や課題を明らかにすることを目的とした.大学生に対する意識調査を数年間実施した.研究結果から,東京2020大会に対する考えについて,2020年とそれ以前の年で有意差が明らかになった.また2020年度の大会に向けた大学生の取組事業の内容の上位項目は,授業(オリンピック・パラリンピック関連)91.4%,語学学習24.1%,ボランティア参加2.4%である。また東京2020大会への関わり方は,競技会場での観戦・応援73.1%,外国人との交流36.9%,オリンピック大会ボランティア24.3%,大学に対する開催希望事業は,授業59.0%,スポーツ体験プログラム34.3%,語学プログラム31.0%と実態が明らかになった.一方で,今後の課題は,大学生のボランティア参加を促進する仕組みの検討があげられる.加えて,大学連携のキーワードは,各年度6割以上,東京2020大会VISIONは,各年度約6割が認識していないという課題も明らかになった.