2012 年 60 巻 8 号 p. 294-300
アジア太平洋地域を中心に世界的に航空交通需要の増加が予想される中,我が国においても,長期的には航空交通量の増加が見込まれており,国土交通省の予測によれば2027年までに2005年の約1.5倍に達すると予測されている.新しい技術による運航システムの変革は,世界が共有する課題であり,日本でも航空局が2010年9月に長期ビジョンCARATS(Collabo-rative Actions for Renovation of Air Traffic Systems,航空交通システムの変革に向けた協調的行動)をまとめた.2011年3月には産学官連携の枠組みの中で施策の識別と詳細なロードマップが策定され,毎年その更新がなされている.JAXAは,CARATSで掲げる目標を実現しキー技術を国際基準として提供すること,運航関連機関のニーズに技術移転により貢献することをミッションと定める次世代運航システムDREAMS(Distributed and Revolutionarily Efficient Air-traffic Management System,分散型高効率航空交通管理システム)プロジェクトを2012年より開始した.本稿では,DREAMSプロジェクトの概要と主要な技術検討の結果を報告する.