2013 年 61 巻 9 号 p. 309-315
JAXA角田宇宙センターの高温衝撃風洞HIESTにおいて,設備運用開始以来15年間行われてきた高温極超音速流れ場における熱空力研究について解説する.空力に関する研究では,新たに開発した風洞内自由飛行計測法によって,高温実在気体効果の空力特性への影響を十分な精度で検出することに成功した.本計測法を鈍頭円錐模型の空力特性試験に適用し,計測された空力係数の変化を計測結果の最新例として報告する.空力加熱に関する研究では,熱防護系設計の最重要課題である極超音速境界層遷移の研究,境界層強制遷移のためのトリップの開発状況,および現状では未解決問題として残されているが,熱流束計測正確度に大きな影響を与える異常高熱流束現象の解明への取り組みについて説明する.また,運用当初と比べ現在では大きく改善された高温・高圧条件で気流特性について,対応策とともに簡単に述べる。