2015 年 63 巻 7 号 p. 230-235
月や火星などの地球低軌道以遠への有人宇宙探査を実現させるためには,飛躍的に高い信頼性・安全性を有する大規模システムを現実的な開発及び運用コストで作り込む新しいリスク管理法の確立が必要である.本研究では,その鍵である数値シミュレーションを中心とした定量的リスク評価による開発プロセスを提案した.また,定量的なクルー安全性評価法の提案も行い,爆発ハザードからの離脱成功確率評価への適用を通し,その有効性を示した.定量的リスク評価による開発プロセスは,設計の手戻りの防止,大規模試験数の削減による開発コスト低減,設計マージンの適正化,及び上流段階での信頼性・安全性検討の強化を実現するものであり,広く他産業分野においても適用可能なものである.