2015 年 63 巻 8 号 p. 253-259
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA: Japan Aerospace Exploration Agency)の大型風洞群は我が国の航空機開発の技術基盤を形成する大型試験設備である.これらの風洞は,戦後の航空機開発再開に向けて出された「航空技術審議会諮問第二号に対する答申」(1955年(昭和30年)4月)に基づき,航空技術に関する研究を急速に実施するため,多額の経費を要する大型試験設備を国内に重複して設置することを避け,当時の航空技術研究所(現JAXA調布航空宇宙センター)に集中して整備されたものである.その結果,戦後開発されたほぼすべての航空機,宇宙機の開発において,現JAXA調布航空宇宙センターの大型風洞群が使用されてきている.本稿では2回に亘りJAXA調布航空宇宙センターの大型風洞群を紹介する.前編では設備の概要を紹介し,後編では風洞群に適用可能な先端的な試験・計測技術の概要について紹介する.