日本航空宇宙学会誌
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特集 宇宙からの高性能光学観測を支える技術 第7回
超高精度観測衛星の指向安定化技術
吉田 憲正小出来 一秀高原 修
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2017 年 65 巻 10 号 p. 303-308

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抄録

観測衛星のうち,望遠鏡・カメラ等の搭載機器に極めて高い指向精度が要求される衛星について,指向精度実現のための技術課題と指向安定化技術の現状を概説する.このような衛星では,低周波域において要求精度が姿勢制御の限界を超えること,高周波域において内部擾乱により衛星本体や搭載機器内部の構造共振が励起されて,わずかな擾乱でも許容できない指向変動が生じうることが大きな問題となる.したがって,指向精度要求の実現のためには,低周波側では指向誤差を直接検出できるセンサの出力を基準にした高精度・広帯域の指向制御系の導入が有効である.一方,高周波側では構造共振のため姿勢と指向は全く無関係な量となるため,姿勢の高精度化は意味をなさない.擾乱そのものの発生を極力抑えること,内部擾乱源からの微小振動の伝達を切ること(振動絶縁)等,擾乱の指向精度への影響を許容範囲内に押え込む総合的な施策(擾乱管理)が重要になる.

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© 2017 一般社団法人 日本航空宇宙学会
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