2017 年 65 巻 11 号 p. 327-332
飛行中の航空機から搭載物を分離する場合,母機に衝突する等の事故を防ぐため,実飛行で行う前に分離特性を地上で検証することは不可欠である.これには,ドロップ試験等の風洞での分離試験とCFD解析が用いられている.今後のステルス等の趨勢を考えた場合,搭載物を内装化し,遷/超音速で分離することが要求されると考えるが,このような衝撃波等を伴う複雑な流れ場について,風洞での分離試験及びCFDによる解析ともにあまり確立されていないのが現状である.こうしたことから,防衛装備庁(当時防衛省技術研究本部)及び川崎重工業(株)は,内装を含む搭載物の高速における分離時の空力現象を複合的に取り扱う研究(以下「本研究」という)を実施した.今回から4回にわたり,連載特集として本研究について解説する.本稿は,連載の始めにあたり,本研究の背景と全般概要を述べるものである.