2018 年 66 巻 4 号 p. 112-118
現在,新たな大気圏突入システムとしてインフレータブル型空力減速機(IAD)が注目を集めており,国内外でさかんに研究開発が進められている.IADは大気圏突入前に柔軟な膜面を膨張展開させて大面積の空力減速殻を構成するシステムであり,従来から利用されている剛構造の空力減速殻に比べ,大気圏突入時の空力加熱を大幅に低減することが可能となる.著者らは国内で開発が進められているIADシステムに関して,有限要素解析に基づく数値構造解析により,その構造特性を調査している.本稿では数値構造解析によってこれまでに得られた知見を風洞試験結果との比較を通じて紹介する.数値構造解析の結果は風洞試験結果に概ね整合しており,また一連の数値解析結果からIAD供試体の初期不整や膜材の材料特性が,構造強度に大きな影響を与えていることが明らかとなった.