2018 年 66 巻 5 号 p. 135-140
人工衛星を用いたミッションの高度化に伴い,衛星搭載用のアンテナや望遠鏡といった衛星搭載機器も,より高精度であることが求められている.そのような高精度な機器の実現に向け,軌道上での変形を計測し,アクチュエータにより補正することで高い精度を得る形状可変構造システムが,多くの機関で研究・開発されている.著者らも積層型圧電素子と変位拡大機構を組み合わせたアクチュエータを用いてアンテナ反射鏡面の形状調整を行う形状可変鏡(スマート形状可変鏡)の研究・開発に取り組んでおり,製作したアクチュエータの性能評価や,実際のアンテナシステムに組み込んだ状態での形状可変鏡の有効性確認試験を実施している.本稿では,そのようなスマート形状可変鏡に関して,研究内容を紹介する.