日本航空宇宙学会誌
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特集 小型推進系が切り拓く超小型衛星の未来 第1回
レーザにより燃焼制御と可変推力を実現する小型固体推進機
各務 聡橘 武史
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2018 年 66 巻 8 号 p. 224-231

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抄録

本稿では,レーザ加熱により燃焼制御を実現する宇宙機用小型固体推進機の原理と,研究の状況について紹介する.近年,超小型衛星が大学やスタートアップ企業により製作され,宇宙空間で作動するに至っているが,多くの超小型衛星は,推進機を搭載しておらず弾道飛行に甘んじてきた.しかし,現在は,搭載例が増加しつつあり,超小型衛星に適合する小型推進系の研究が進められている.本研究では,小型軽量で無毒な小型推進系の実現のために,レーザ加熱中にのみ燃焼を維持する固体推進剤を開発し,レーザダイオードを熱源とする小型推進機の研究を行ってきた.これまでに,試作機を用いて作動のOn/Offが可能であることを実証し,推力測定により推力0.07 N,比推力126 sを得た.また,レーザ吸収長,燃焼中の固体推進剤の熱流束などレーザ加熱下の燃焼に関わる特性を明らかにしている.本稿ではこれを紹介する.

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© 2018 一般社団法人 日本航空宇宙学会
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