2019 年 67 巻 12 号 p. 414-420
近年,JAXA内外のさまざまなミッション要求(小型,軽量,高性能,低コスト化等)により,人工衛星への民生用部品の採用が検討されつつある.このような状況下において,長期間軌道上で運用する人工衛星等の搭載機器に鉛フリー部品を使用することが見込まれる.鉛フリー部品の実装において最も大きな課題は錫ウィスカであり,錫ウィスカは導電性のため電子回路の短絡不具合に繋がる恐れがあることから,非修理系の人工衛星では致命的となり得る.本軌道上実証評価では,錫ウィスカに対し地上での評価・検討により得られた錫ウィスカ抑制対策の有効性を,国際宇宙ステーション(ISS)「きぼう」日本実験棟の簡易曝露実験装置(ExHAM)を利用した軌道上実環境により最終確認することを目的とする.本実験名をWHISKERと呼称し,平成29年度より軌道上実証評価を開始している.本報告では計画概要と1年目の進捗状況について報告する.