日本航空宇宙学会誌
Online ISSN : 2424-1369
Print ISSN : 0021-4663
ISSN-L : 0021-4663
特集 MCS並列計算システムの開発と応用 第3回
応用例(2):D-SEND#2第1回落下試験誘導制御則の再設計
川口 純一郎鈴木 広一塚本 太郎二宮 哲次郎
著者情報
ジャーナル 認証あり

2019 年 67 巻 8 号 p. 279-285

詳細
抄録

近年の航空機システム開発における誘導制御則の性能評価にあたってはモンテカルロシミュレーション(MCS)が利用されるようになってきており,JAXAのD-SENDプロジェクト第2フェーズ試験(D-SEND#2)においても誘導制御則の設計要求の1つとしてMCSによるミッション成功率が設定された.しかし,システムの誤差モデルを適切に設定しなければ誤った性能評価につながることもある.実際にD-SEND#2第1回落下試験の誘導制御則設計に供した空力誤差モデルは過小評価されていたため,事前のMCSでは要求されたミッション成功率を達成していたものの,想定以上の空力誤差と安定余裕の不足により落下試験の失敗につながった.空力誤差モデルが適切であったならば,制御性能と安定性を両立できる誘導制御則をMCSにより効率的に設計できた可能性がある.本稿ではこれを検証するために,MCS並列計算システムを利用してD-SEND#2第1回落下試験の誘導制御則再設計を行った例について解説する.

著者関連情報
© 2019 一般社団法人 日本航空宇宙学会
前の記事 次の記事
feedback
Top