北関東医学
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症例報告
高度肥満高校生のBochdalek孔ヘルニア嵌頓の一例
山崎 穂高清水 尚佐藤 弘晃戸谷 裕之茂木 陽子坂元 一郎饗場 正明田中 俊行小川 哲史須納瀬 豊竹吉 泉
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2012 年 62 巻 4 号 p. 399-403

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抄録

Bochdalek孔ヘルニアは先天性横隔膜ヘルニアの中で最も頻度の高い疾患であるが, その大部分は新生児期に発症し, それ以降の発症はまれである. 今回, 高度肥満高校生のBochdalek孔ヘルニアの一手術例を経験したので報告する. 症例は15歳の高度肥満男性 (BMI 35), 2011年10月, 嘔吐, 腹痛が出現し近医を受診した. CTで胸腔内に胃, 横行結腸, 大網の脱出が確認され当院紹介受診となった. Bochdalek孔ヘルニア嵌頓の診断で, 緊急手術を施行した. 腹腔鏡下に手術を開始し嵌頓解除を試みたが, 高度な肥満の為, ワーキングスペースや視野の確保が難しく, 還納は困難であった. 開腹手術に移行しヘルニア孔を縫合閉鎖し手術を終了した. 術後経過は良好で術後13病日に退院した. 現在まで再発は認めていない. 本例は高度肥満による, 慢性腹圧上昇が発症の要因と思われた.
成人Bochdalek孔ヘルニアは稀な疾患とされてきたが 無症状例を含めると潜在的には高頻度に存在する可能性がある. 急変時の死亡率は決して低くなく, 速やかに適切な治療を行う必要があると思われる.

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© 2012 北関東医学会
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