抄録
症例は30歳代, 男性. こう鼻直後に右眼周囲が突然腫れたため救急要請し当院へ搬送された. 前夜に子供の頭が右眼にぶつかったという経緯があった. CT検査で右眼窩内側壁の骨折と右眼窩内や眼瞼下に気体濃度がみられた. 右眼部打撲により右眼窩内側壁の骨折が生じ, こう鼻の際に骨折部を経て副鼻腔の気体が眼窩および眼瞼下に迷入したと考えられた. 保存的加療で軽快した.
眼部に衝撃が加わった直後には無症状で, くしゃみやこう鼻により副鼻腔が加圧され, 骨折部が偏移して眼窩気腫等を生じ, それを契機に眼窩骨折が判明した例が散見される. 突然の眼部腫脹がみられた場合には, 鑑別診断の1つとして眼窩気腫を考慮すべきである.