北関東医学
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症例報告
遺伝子組換え型活性型第VII因子製剤投与により慢性硬膜下血腫に対する穿頭血腫灌流除去術中の出血制御に成功した後天性血友病Aの1例
野口 紘幸小川 孔幸柳澤 邦雄石埼 卓馬三原 正大三井 健揮清水 啓明野島 美久半田 寛
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2016 年 66 巻 3 号 p. 211-215

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抄録

後天性血友病A (AHA) は凝固第VIII因子 (FVIII) に対する自己抗体により発症する比較的まれな凝固異常症である. 今回我々は慢性硬膜下血腫の穿頭血腫灌流除去術を遺伝子組換え型活性型第VII因子製剤 (ノボセブン®HI: rFVIIa) 投与下に施行し, 良好な止血管理が出来たAHA症例を経験したので報告する. 症例は, 54歳男性. 心原性脳塞栓にて前医入院. 尿道カテーテルによる尿道損傷後, 血尿が持続, APTT延長が認められたため, 精査加療目的に当院転院となった. 転院時, FVIII活性8.0%と低下, FVIII inhibitor力価2.0 BU/mlと高値のためAHAと診断され, プレドニゾロン (PSL) (0.5 mg/kg) による免疫抑制療法が開始された. 治療開始後第9病日頭部CTで著明な正中偏位と脳の圧排を伴う左慢性硬膜下血腫を発症, rFVIIa投与下に緊急で穿頭血腫灌流除去術が施行され, 重篤な出血なく止血管理に成功した. 第12病日に検出感度以下へのinhibitor低下, 第19病日にFVIII活性正常化したため寛解と判定された. 転院後PSL漸減中にAHAが再発したが, PSLの再増量にて再度寛解となった.

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© 2016 北関東医学会
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